新たな産業用ヒートポンプを導入、エッゲルスベルクのB&Rプリント基板(PCB)工場で天然ガスに依存しない運営

  • B&Rはカーボンニュートラルに向けて新たな一歩を踏み出しました:約250万ユーロの投資により、年間1,800MWh以上のガスと450トン以上のCO2を削減することができます。
  • 新しい産業用ヒートポンプシステムは、15,500平方メートルの生産およびオフィススペースの冷暖房に使われます。
  • オーストリアでは最大級のB&R太陽光発電システムが、1.8MWpから3.2MWpへ拡張される予定です。
  • 電気自動車を10%から90%へと大幅に拡大することを目標としており、敷地内ではすでに59基のEV充電ステーションが稼動しています。

ABBグループのオートメーション・スペシャリストであるB&Rは、オーストリアのエッゲルスベルクに位置する本社のプリント基板工場を皮切りに、天然ガスへの依存を段階的に減らしていきます。これは、B&Rが250万ユーロを投資した新しい産業用ヒートポンプシステムによって可能になったもので、機械からの廃熱を利用し、15,500m²の生産およびオフィススペースの気候変動に配慮した冷暖房に利用されます。その結果、ガスの消費量は、小集落1か所分に相当する程度です。

新しいヒートポンプシステムに必要なエネルギーは、従来に比べ約4分の1です。そのための電力は100%再生可能エネルギーで供給されています。そのなかでも、自社製の太陽光発電システムの出力量は現在1.8MWあり、今後数年間で3.2MWまで拡大する予定です。

オーバーエスターライヒ州のMarkus Achleitner経済大臣は次のように説明しています:「オートメーションのスペシャリストであるB&Rは、オーバーエスターライヒ州をリードする非常に革新的な企業であるだけでなく、天然ガスなどの化石燃料を段階的に廃止していくパイオニアでもあります。オーストリア国内第一の工業州であるオーバーエスターライヒ州は、特に製造業のエネルギー転換において特別な役割を果たしています。B&Rのこのような産業用・大規模ヒートポンプシステムは、クライメイトニュートラル(気候中立)への道におけるライトハウスプロジェクトです。オーストリア全体では、産業用熱需要の12%以上をヒートポンプで賄える大きな可能性があります。ソース: ヒートポンプの熱転換への寄与 (2023年7月), BMK
www.bmk.gv.at/themen/energie/publikationen/beitrag-waermepumpen.html
私たちは、この可能性を最大限に引き出し、ともに前進させなければなりません。」

社有車の電動化はカーボンニュートラルへのさらなる一歩

B&Rは2030年までに完全なカーボンニュートラルの実現を目指しています。このために、当社は社内でのE-モビリティにも力を入れていきます。現在、B&R社有車のうち10台に1台が電気自動車ですが、その割合は着実に増加しています。B&Rの目標は、本社で使用する車両の90%以上を電気自動車に転換することであり、エッゲルスベルクの拠点では現在、59基の電気自動車(EV)充電ステーションが稼働しています。さらなるEV充電スタンドもすでに計画されています。

B&R CEOのJörg Theisは、「私たちは、カーボンニュートラル企業として予定通り、次の10年をスタートします。」と述べています。「産業界の大きな懸念として、ガスの段階的廃止は経済的に実現可能でないと言われています。当社の新しいヒートポンプは、実際の生産にガスを必要としない多くの産業工場において、今日このステップが実際に可能であることを証明しています。ABBグループの一員として、B&Rは2030年までにカーボンニュートラルを実現するという明確な目標を掲げています。プリント基板工場における天然ガスの段階的廃止は、この目標に大きく近づくものです。このようにして、私たちは、持続可能なオートメーション部品の生産と、気候変動に配慮したサプライチェーンをお客さまに提供するべく、今後も道を切り開いていきます。」

ヒートポンプで約200世帯分のガス消費量を節約

将来、B&Rの新しいヒートポンプシステムは、年間1,800MWh以上のガスに取って代わることになります。これは150~200世帯分の消費に相当します。B&Rのプリント基板工場におけるヒートポンプの総容量は980kWです。冷却能力は850kWで、特に夏場に特定の温度に冷却する必要がある生産エリアに適しています。

主なエネルギー源:廃熱、空気、太陽光発電

連邦気候保護・環境・エネルギー・モビリティ・イノベーション・テクノロジー省(BMK)によると、2022年にはオーストリア全土で131台の産業用ヒートポンプが販売されました。ヒートポンプの大きな可能性は、主に産業廃熱の活用にあり、これにより電力需要が大幅に削減されます。これはB&Rでも同様で、新しい熱回収システムでは、製造過程で発生する廃熱をエネルギー源として利用し、オフィスや生産エリアの暖房に使用されています。必要な追加エネルギーはヒートポンプシステムによって生成され、余剰熱は建物のほかの部分で利用することができます。すべてのヒートポンプには自然冷媒のみが使用されています。B&Rの革新的な計測および制御技術により、このソリューションで使用されるすべてのコンポーネントが可能な限り最良の方法で連動することが保証されています。

太陽光発電システムと電気自動車の増設が進行中

PCB工場の新しい暖房システムは、B&Rのサスティナビリティ戦略の一環としてすでに実施済、あるいは計画中のいくつかの施策のひとつです。昨年開設されたB&RエッゲルスベルクのABBイノベーション&トレーニングキャンパスには、すでにオーストリア最大級の自家消費型太陽光発電(PV)システムが設置されています。昨年だけで、PVシステムは1,786MWhの電力を供給しました。このシステムは、社有車の電気自動車への転換など他の施策とともに、今後数年間でさらに拡大される予定です。また、生産拠点間の熱エネルギー貯蔵も実施され、気候変動に配慮したエネルギーの最適利用を図っています。



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